東京大学と北海道大学、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、気象庁のグループは、海面水温の極端な高温が続く「海洋熱波」により、高度2000mまでにある下層雲の形成が妨げられて日射が増大したこと、海洋が大気を加熱したこと、水蒸気が増えて温室効果が強まったことが、北日本の暑い夏に影響を与えている可能性が高いと報告している。
2023年の6~8月は、北日本近海で夏としては最も海面水温が高かったことで海洋熱波が発生した。また、北日本としても1988年以降最も高い平均気温となった。一因が海水温の上昇とされるが、その課程は明らかではなかった。
研究グループは三陸沖から北海道太平洋沖にかけての海域の気温と水温の鉛直分布を解析。23年は高度約3000m以下の気温が高く、地表付近で特に増大していた。
これは23年夏の地上の異常高温の要因が、上空の大気循環の変動に加えて、大気と接する海洋側にもあることを想像させるという。実際、海洋表層の水温は黒潮続流の北上の影響による海面付近の海洋熱波の状態に加え、海の深さ300mまで過去と比べて高くなっていた。
グループは「北日本近海の海洋熱波が地上の異常高温に影響を及ぼした可能性を示している」と説明。「異常気象の分析を進め、気候変動対策の取組に貢献していく」としている。