「がん細胞吸着キット」のイメージ

大阪大学と住友ゴム工業は、がんの新たな治療法の開発を目指す共同研究を推進すると発表した。住友ゴムが開発したがん細胞を血中から吸着するポリマーを使った「がん細胞吸着キット」を活用して、がん細胞を活性化するメカニズムを明らかにしたい考えだ。

がんにり患すると血液中に血中循環がん細胞（CTC) が発生する。これまでの方法では原因となるがん細胞と血液細胞を完全に分離することが難しく、精度の高い治療方法の選択に限界があった。

開発したポリマーを使うことで、特定のがん細胞のみを吸着することが可能となった。さらに、対象疾患もこれまでの大腸がんと肝細胞がん、膵（すい）がんだけでなく、前立腺がんや乳がんにも拡大した。

研究グループは「がん細胞の増殖や転移を促進する細胞内のメカニズムであるがん活性化シグナルを明らかにし、より多くの患者にそのシグナルを阻害する分子標的治療薬の投与に結びつけたい」としている。