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火星大気の塩化水素の全球分布取得 火星の塩の生成過程を知る手がかり 東大

マウナケアにあるIRTF望遠鏡

東京大学の青木翔平講師らのチームは、火星の大気に存在する塩化水素の全球分布の取得に初めて成功した。研究をもとに推測できる大気中の塩素の循環は、地表面に存在する塩素を伴う塩の生成過程を明らかにする手がかりになるという。

研究では米ハワイ州のマウナケア山頂の天文台群にあるアメリカ航空宇宙局(NASA)のIRTF望遠鏡を用いて、2020年9月7日~同年11月1日に火星観測を実施。地表面付近の大気における塩化水素の全球分布取得を試みた。

その結果、塩化水素の検出に成功した。火星全球で塩化水素が広く存在することが分かっている。また、南半球の高緯度域で多く存在し、大気中の水蒸気の量と強い相関があることが判明した。

観測された塩化水素の空間分布は、生成消滅や大気循環の結果によって生じるものであると推定された。水蒸気量との相関は、水蒸気が塩化水素の生成消滅過程で重要な役割を果たしていることが示唆されている。