6系統のマイクロトム
筑波大学と大阪公立大学、かずさDNA研究所、国際農林水産業研究センターは、これまで読み取ることが難しかった直径2~3cmのトマト「マイクロトム」の塩基配列をほとんど完全に読み取ることに成功した。野菜類の育種や遺伝学の研究の加速に貢献しそうだ。
マイクロトムはアメリカで観賞用に開発されたトマトで、種をまいてから3~4カ月で次世代の種子を取ることから、研究用のモデル品種として使われる。
これまでの研究からマイクロトムには遺伝的に異なる系統があると分かっていたが、広がった経路や表現・遺伝子型の違いについての研究報告はなかった。そこで、まずアメリカとフランス、ブラジル、日本の3研究機関から6系統を集めて、全ゲノムを解読するとともに遺伝的な違いや植物体の形や果実の大きさなどの差を明らかにした。
また、筑波大が維持してきた全ゲノムを新たに解読。このゲノム解析では、最新のDNA分析技術を利用したため、従来は読み取ることが難しかった領域の塩基配列を、ほとんど完全に読み取ることに成功している。
研究グループは「マイクロトムの実験材料の管理が効率化されるようになることで、自身が研究に利用しているマイクロトムの来歴を正確に把握できるようになる利点もある」と評価している。