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地震防災上の重要知見 隠れ活断層の特徴を発見 廃棄物処分でも有用 JAEA

日本原子力研究開発機構(JAEA)の研究グループは、地形で推計できない「隠れ活断層」の存在が分かっている地域で調査を行い、岩盤の割れ目に記録された多数の滑り痕のデータを取得した。その結果から隠れ活断層の検出に向けた手がかりとして重要な特徴を発見することに成功している。高レベル放射性廃棄物の地層処分にもつながる重要な調査手法となりそうだ。

活断層は、断層運動に伴い地表にずれが現れることで、その存在を認識できる。そのため、活断層が地表に到達していない隠れ活断層の場合、存在を認識することが極めて困難だ。マグニチュード 6~7 の地震を発生させる活断層は、地下に隠れている場合がしばしばある。

研究では、マグニチュード6.8を記録した1984年の長野県西部地震が発生したことで、隠れ活断層の存在が明らかとなった王滝村(おうきたむら)を対象に調査をした。岩盤を観察し、その中の割れ目の表面に記録された滑り痕を収集し、痕の形成をもたらした応力の復元のための解析をした。

解析では村の地震データを多重逆解法という手法を用いて、それらの滑り痕を形成した内部で発生する力である応力を復元。計344個の滑り痕のデータを収集し、調査地域の13の領域で応力を再現した。

その結果、隠れ活断層の直上付近で作用した力が復元されており、隠れ活断層のこれまでの繰り返しの活動で形成された痕を発見した。断層直上に多数分布しており、これが地表における固有の特徴といえるという。

研究グループは「研究の成果は、地表での隠れ活断層の検出に向けた新たな調査手法の構築に貢献するものであり、地震防災上の重要な知見となる」と説明している。