名古屋大学の中嶋宏貴講師らの研究グループは、訪問診療を受ける高齢者の血液検査から算出したフレイル指数(FIラボ)が、身体機能などによるフレイル指数(FI)と同じ程度に予後を予測できると報告した。日常診療の検査を利用して追加の痛みなどを伴わずに算出でき、電子カルテに自動で表示することも可能だという。
フレイルは「加齢に伴う予備能力の低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」と定義される。訪問診療を受ける高齢者はこの状況であることが多く、適切な診療やケアの計画にはより正確な評価が重要だ。
グループは188人の患者を解析対象とし、一般的なFI42項目、FIラボは25項目の血液検査を用いた。解析の結果、訪問診療開始時のFIラボが高いとその後の死亡率が高いことが分かった。特にFIラボは、2年までの死亡と関連していたという。さらに、FIラボの予後予測能は、一般的なFIと同等以上であると示されている。
研究グループは「FIラボは検査の異常のみを評価するため、患者全体の病状や身体機能などの評価の代わりにはならないが、より正確なリスク評価に役立ち、早期から訪問診療のゴールについて話し合うきっかけになるかもしれない」と評価している。