京都大学の光武誠吾研究員と早稲田大学のグループは、新型コロナウイルス感染症禍のウェブ検索とインターネット上の健康情報を活用する力の関連性、検索の課題について明らかにしている。この研究は、パンデミック時のフェイク情報対策に向けた第一歩になると考えられている。
新型コロナ禍では、ネット上の誤情報が問題を引き起こしていた。今後、健康情報を適切に収集し、活用していく「eヘルスリテラシー」が求められている。だが、これまでリテラシーの高いユーザーと低い人の検索と利用の難易度を比較した研究はなかった。
グループは日本に住む6000人を対象にインターネット調査を実施した。ヘルスリテラシーを測定する「eHEALS」とデジタルヘルスを評価する「DHLI」を用いて、検索したウェブ情報源とトピックを確認し、情報検索と困ったことをアンケートした。
それによると、高い e ヘルスリテラシーを持つ参加者は多様な情報源を利用する傾向があったが、ナビゲーションやプライバシー保護のスキルが高い人は慎重に情報を利用していた。約半数は、情報検索に困難を感じていたという。
検索に難しい感覚があった人とeHEALSの関連性は見られなかったが、DHLIが高いほど困っている人の割合は減った。彼らは「情報の質と信頼性」や「必要な情報の過不足」、「公共機関等への不信感や疑念」などで情報検索の難しさを抱えていたという。
光武研究員らは、正しい情報と誤情報が溢れる「インフォデミック」の対策は不可欠だとし、「情報ニーズは何かを明らかにすることも求められている」と説明している。