ハハジマノボタン
京都大学と東京大学のグループは17日、小笠原諸島の固有種「ムニンノボタン」と「ハハジマノボタン」、「イオウノボタン」が普通種であるノボタンよりも遺伝的多様性が低くなっていると分かった。特にハハジマノボタンは早急な対策が必要だという。17日付の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」で発表されている。
小笠原諸島にのみ生息するノボタン3種は環境省のレッドリストに含まれている。ムニンノボタンは発見時から個体数が少なく保全が行われてきた。だが、ハハジマノボタンとイオウノボタンのゲノム脆弱性に基づく絶滅リスクはこれまで評価されてこなかった。
研究ではムニンノボタンとハハジマノボタン、イオウノボタン、ノボタン、中国に分布するノボタン属3種を比較したゲノム解析を行った。その結果、小笠原諸島に固有なノボタン属3分類群は通常のノボタンと比べて遺伝的多様性が低いと推定された。ゲノムの脆弱性は3つの固有分類でも結果がでた。
それによると、ハハジマノボタンは個体間で遺伝的差異がほとんどなく、ゲノム全体で変異が失われた領域(ROH)が広がっているなど、小笠原のノボタンの中では最も脆弱なゲノムとなっていた。グループは「ゲノムの弱さの観点からは、ハハジマノボタンはムニンノボタン以上に危機的であり、早急な保全策の構築が必要である」と指摘している。