東北大学の児玉栄一教授らのグループは、健康調査を受けた血圧が高い人に病院の受診を喚起する仕組みを構築している。6割の患者が治療を開始し、早期受診に結び付くことを証明した。高血圧症は震災などのストレスで起こることがあり、当事者の健康を守ることにつながるという。
研究グループは東日本大震災以降、岩手と宮城県で健康調査をしており、その中で血圧測定をしている。だが、高血圧は症状に乏しいため、健康診断で注意を受けても通院につながりにくい。どういった働きかけがあれば、行動に結びつくのかが課題となっていた。
グループは調査参加者に家庭血圧計を貸して、自宅で2週間の検査を実施した。解析したところ、参加した2万1061人の中で至急対応すべき患者が256人いた。結果通知前に医療機関を受診すべきと伝える「至急結果回付」を送り、その前後にアンケートを行って151人から回答を得ている。
すると、アンケートで治療していなかった人たちの6割が加療に動いていたことが分かっている。回付状を用いて異常値を迅速に知らせることは、早期診断と治療につなげるために有用であった。
グループは「健康調査を継続し、ゆくゆくはこの至急結果回付により将来の疾患発症リスクをどの程度低下できたかを検討したい」としている。