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難病「多発性のう胞腎」 家族歴がなければ遺伝子IFT140の変異が3番目 東京医科歯科大

東京医科歯科大学

東京医科歯科大学の蘇原映誠准教授らの研究グループは、難病「多発性のう胞腎」で家族に同じ病気を持たない成人患者について解析を行った。遺伝子IFT140の変異を原因とする患者が3番目に多いと分かっている。薬剤治療適応の判断などに活用でそうだ。16日付の国際科学誌「キドニー・インターナショナル・リポート」電子版で公表している。

多発性のう胞腎の中で、成人に多くみられる常染色体顕性多発性のう胞腎の原因は、遺伝子「PKD1」または「PKD2」の変異とされる。だが、家族内に同じ病気を認めない患者が約1割いることが知られており、彼らがどのような遺伝子が要因で発症しているかが分かっていなかった。

研究では27施設157人を対象に遺伝子解析を行った。その結果、7人に新たな原因遺伝子IFT140の異変が認められた。IFT140による患者はPKD1による患者と違って、腎機能障害の進行が緩やかで腎臓にできるのう胞の形も特殊であると分かった。

グループは家族歴がない多発性のう胞患者では、IFT140を原因とする患者が約5%存在し、PKD1やPKD2に次いで3番目に多い原因遺伝子であると説明。「この結果は、家族歴がない成人の多発性のう胞腎患者の診断だけでなく、薬剤治療適応の決定や遺伝カウンセリングなど様々な臨床への還元が期待される」としている。