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カメノコハムシの扁平縁発達過程を世界初報告 昆虫の多様性理解に貢献 玉川大

玉川大学の宮崎智史教授らの研究グループは害虫である「イチモンジカメノコハムシ」と「ヨツモンカメノコハムシ」を用い、カメノコハムシ類に特徴的な「亀の甲型」の防御形態の発達過程を確認し、世界で初めて報告した。

ハムシの中には、亀の甲型や「陣笠型」、「UFO型」、「お椀型」と形容される変わった形態を示すものが約3000 種いる。虫の背中にある亀の甲型の構造は「扁平縁(へんぺいえん)」とも呼ばれ、捕食者から守る機能を果たす形をしている。研究では東京都内に生息する2種類の扁平縁の発生過程を調べ、中でも前胸背板部分のみに注目して解析した。

調査によると、体がシワシワになるさなぎの前段階で前胸背板上皮が折りたたむように形成され、さなぎとなった時機に扁平縁が形成される仕組みが明らかになった。少なくとも他の28種のさなぎでも、2種と同様に扁平縁のもとが確認されたという。これは多くのカメノコハムシで共通すると示唆されている。

グループは「前胸部分のみならず前はね部分も含め、扁平縁発達の分子機構を調べることが、カメノコハムシの系統の特殊な特徴の進化の過程、昆虫類の新奇形質発達における共通性と多様性を理解することにつながる」と評している。