文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
雲水の野外観測で初めてマイクロプラスチックの存在を実証 雲水中のマイクロプラスチックが想定以上に環境・健康リスクを高めていることが明らかに(早大研究G)

早稲田大学等の研究グループは、雲水中に含まれる大気中マイクロプラスチック(Airborne MicroPlastics:AMPs)存在量と特徴を解明することに初めて成功した。

マイクロプラスチックによる大気汚染の危険性が叫ばれるなか、この研究成果はAMPsの実態解明の一環として雲水中AMPsの存在量を明らかにすることで、まだ黎明期である当該分野の今後の研究の必要性と新たな課題を浮き彫りにした。

この研究を行ったのは、早稲田大理工学術院の大河内 博教授、同理工学術院博士後期課程4年の王 一澤(おう いちたく)、東洋大理工学部応用化学科の反町篤行教授、およびPerkinElmer Japan合同会社。研究成果概要は次のとおり。

■研究のポイント

◎これまで、野外観測により雨水から大気中マイクロプラスチック(AMPs)が検出されてきましたが、雲水(くもみず、雲粒(空気中に浮遊する小さい水滴)の集合体)中に AMPs が含まれていることは実証されていませんでした。

◎研究グループは、自由対流圏に位置する富士山頂(標高3776㍍)、大気境界層に位置する富士山南東麓(標高1300㍍)、丹沢大山山頂(標高1252㍍)で、2021年から2022年にかけて雲水44試料を採取し、世界で初めて雲水の野外観測によりAMPsの存在を明らかにし、特徴や起源を解明した。

◎この研究により、雲水中ではカルボニル基などの親水基を有するAMPsが濃縮され、本来は親水基を有しないポリエチレン、ポリプロピレンも紫外線劣化が進行することにより、これまでの想定以上にAMPsが雲凝結核や氷晶核として機能し、環境・健康リスクを高めていることが明らかになった。