東レリサーチセンター（TRC）と北陸先端科学技術大学院大学（JAIST）は、1億分の1メートル単位で細胞の構造を解析する方法を開発した。低温など特殊環境での観察も可能だという。

細胞は細胞膜や細胞質、細胞小器官などさまざまな部分から成り立つ。こうした微細構造の観察は電子顕微鏡や超解像蛍光顕微鏡で行われてきたが、細胞を生かしたまま、小さなスケールで確認する方法はなかった。

研究チームは大型放射光施設「SPring-8」のビームラインで、X線を照射したときの散乱を観測する「小角X線散乱」を使って細胞の微細構造の解析を行った。その結果、細胞内から信号が検出され、細胞周辺の環境の変化に反応していることが認められた。

チームは「抗体タンパク質の品質や産生量と細胞の微細構造の関係性が明らかになることで、抗体医薬品の開発へ貢献できる」と評価している。