東京都医学総合研究所(TMiMS)と東京大学のグループは、10~16歳の間に長期にヤングケアラー状態が続くと精神的に不調を抱えるリスクが高めると発表している。調査によると、長い間にヤングケアラーである人は、精神の不調が2倍以上の割合で発生した。オランダの医学誌「ジャーナル・オブ・アドレスセント・ヘルス」の電子版に10日付で掲載されている。
先行研究からヤングケアラー状態の若者はそうでない人よりも精神的不調を抱えやすいと分かっている。だが、その長さによって危険性が変化するかは分かっていなかった。
研究チームは2002~04年に生まれた児童3171人に10、12、14、16歳の4時点で追跡調査を行った。2時点で連続する「長期ヤングケアラー」、2時点目でのみ当てはまる「短期ヤングケアラー」、一時的にケアラーであった「元ヤングケアラー」、当てはまらない「ヤングケアラーでない」に分類している。
その結果、精神的不調を抱える確率が長期ヤングケアラーで高いことが分かっている。一方、短期ヤングケアラーはメンタルヘルス不調との関連は見られなかった。長期ヤングケアラーはそうでない児童と比べて、14歳時点の抑うつが2.49倍、16歳時点での自傷行為が2.51倍、死にたくなる気持ちが2.06倍増加していたと判明している。
研究グループは「思春期は心身の成長や社会関係の発達に重要な時期であるため、インフォーマルケアの負担が長期化しないよう、学校や公的機関が彼らに早い段階で気づきその負担を減らすように支援をすることが重要だ」と指摘している。