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ツキノワグマ、年間死亡率は1割、生後半年までで死亡は2割強(農工大等調査)

東京農工大学大学院連合農学研究科などの国際共同研究チームは、日本の本州中部に生息するツキノワグマ個体群の繁殖と死亡に関する情報のうち、初めて五つの情報(初育児成功年齢、育児成功間隔、自然死亡率、人為死亡率、0歳の子の死亡率)を定量的に明らかにした。メスの野生ツキノワグマの繁殖と死亡に関わる情報を明らかにしたもので、初めて子育てに成功する年齢は5.44歳、子育ての成功は2.38年間隔であることがわかった。

また、一度に産む子の数は平均1.58頭で、2歳から出産が可能と推定された。さらに、1歳以上の年間自然死亡率は10.8%であったのに対し、生後半年までの死亡率は高く、23.5%と推定された。

特に、死亡率はこれまで未知の情報であったことから、個体群の動向の予測などに応用されることで、ツキノワグマ個体群の保全や管理においても重要な知見となることが期待される。

この研究は、農工大の栃木香帆子大学院生(博士課程3年)、同大学院グローバルイノベーション研究院の小池伸介教授(兼任農工大農学部付属野生動物管理教育センター)、ノルウェーのノード大学のSam Steyaert准教授(兼任農工大大学院グローバルイノベーション研究院・特任准教授)、国立研究開発法人国立環境研究所の深澤圭太主任研究員、長野県環境保全研究所の黒江美紗子研究員、群馬県立自然史博物館の姉崎智子主幹(学芸員)、東京農業大学地域環境科学部森林総合科学科の山﨑晃司教授らにより行われた。