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魚に首の骨は存在するのか? 1つだけある可能性 脊椎動物は陸で首を発達 埼玉大など

ゼブラフィッシュの椎骨

埼玉大学の川村哲規准教授と国立遺伝学研究所の前野哲輝職員らは、椎骨(ついこつ)の個性をもたらすHox(ホックス)遺伝子を壊した魚を作製した。2番目の椎骨が胸骨と考えられ、最前部の椎骨が頸椎(けいつい)と類似した性質をもつ可能性を示している。

異なる動物を比較する際には、同じ形態の比較が基本だ。だが、魚の椎骨は哺乳類とは形が違うため、対応関係が不明であった。

マウスを使った先行研究からHox遺伝子が椎骨の個性を持つことが示されている。グループは、ゼブラフィッシュのHox遺伝子を壊した魚を作製した結果、5番目まであるうちの3と4番目の椎骨がもともとは胸椎(きょうつい)であると示唆された。

Hox遺伝子を破壊したゼブラフィッシュやメダカを解析すると、最前部の椎骨のみが頸椎と類似した性質があることが分かっている。また、哺乳類には頸椎が7つあるが、魚はそれに類似した椎骨を1つしかないと推測されている

川村准教授らは「哺乳類のほとんどは頸椎を7つあるのに対し、魚は1つしかない可能性が示されたことから、脊椎動物は陸上に進出した後、頸椎を増加させて複雑な機能をもつ首の構造を発達させたのかもしれない」としている。