開発されたデジタルマルチメーターの校正イメージ図
産業技術総合研究所の丸山道隆研究グループ長らは、取り外しが可能で安定性に優れた基準電圧源を備えた高精度デジタルマルチメーター(DMM)を世界で初めて開発して製品化した。
IT機器などに搭載されているチップコンデンサーやチップ抵抗など高い性能が求められる電子部品の生産工場では、DMMを用いた検査が行われる。DMMの校正では、現場から持ち出す必要があるため、代替品を用意する必要があり生産性の低下やコストの増加につながっていた。
新たに開発したDMMの基準電圧原は、内臓バッテリーで通電状態のまま取り外すことが可能なため、電圧安定度を維持したまま校正できるという。脱着可能な基準電圧源とは別に、短期間の安定を担保する電圧源が内蔵されているため、取り外した後もDMM本体は検査に使うことが可能だ。
産総研らは今後について「基準電圧源だけでなく、標準抵抗器や基準周波数源もモジュール化し、これらを内蔵したマルチ基準源モジュールの開発に取り組む」としている。