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半導体テラヘルツ発振器の超高速振動ダイナミクスの計測と制御に成功 京大・阪大・ローム

京都大学と大阪大学、半導体大手ロームのグループは2日、高速動作可能な共鳴トンネルダイオードを用いた小型の半導体テラヘルツ発振器から放射されるテラヘルツ電磁波の波形計測と制御に成功した。同日付の英学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載されている。

次世代無線通信技術で大容量通信をするためにはテラヘルツ帯の電磁波を利用する必要がある。そのカギとなる装置が小型の半導体テラヘルツ発振器だ。だが、振動波形(位相)を計測して制御する技術が未発達であるため、テラヘルツ発振器は電磁波の位相を無線通信で利用できていない。

テラヘルツ電磁波の超高速計測技術はすでに確立されていたが、半導体テラヘルツ発振器に適用することは不可能とされてきた。その原因は発振器の周波数ゆらぎにあった。だが、注入同期現象を利用することで共鳴トンネルダイオードの発振周波数を固定して課題のゆらぎを減らして、放射されるテラヘルツ電磁波の振動電場波形を計測することに成功した。

今後について「位相情報を利用した超高速・大容量無線通信やスマートセンシング技術の実現につながる」と説明している。