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生活習慣病「慢性閉塞性肺疾患」に対する吸気筋トレーニングの有効性を証明 近大

近畿大学の松本久子教授らのグループは、喫煙が原因で胚に炎症が生じる生活習慣病「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」の治療に用いられる吸気筋トレーニング(IMT)が、横隔膜機能を改善させて全身の持久力向上や歩行時の呼吸困難感に対して有効に働くことを証明した。

COPDは気道が狭くなり、肺の弾力性が低下する病気。り患すると呼吸困難や息切れの原因となり、潜在的な患者は日本に500万人いると推定されている。

研究グループは慢性閉塞性肺疾患の患者を対象に、肋骨内側の筋肉である横隔膜機能に対するIMTの効果を調査した。12週間の呼吸リハビリテーションプログラムの後、「在宅治療を中心としたIMT」と「一定頻度の外来呼吸リハビリテーションを受けた患者」群と、「低頻度の外来呼吸リハビリテーションのみを受けた患者ら」に分け、IMTが横隔膜機能に及ぼす影響を評価した。

その結果、IMTを受けた患者群のみ横隔膜移動距離が増加した。また、全身の持久力の改善が見られ、歩行時の呼吸困難感も軽減された。IMTが慢性閉塞性肺疾患患者の横隔膜機能を改善させ、運動耐容能・歩行時の呼吸困難感に対して有効に働くことを証明している。

研究グループは「COPD患者以外で、横隔膜機能低下が報告されている間質性肺疾患患者に着目してCOPD患者の横隔膜移動距離と換気パラメータの比較を行うとともに、各疾患の特性を明らかにし、本研究と同様にIMTの効果について調査を進めていく」としている。