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牛伝染性リンパ腫ウイルスから牛を守る ウイルスの簡易定量法と乾燥試薬開発 東大など4者

東京大学と製薬会社「ニッポンジーン」、兵庫県食肉衛生検査センター、埼玉県熊谷家畜保健衛生所の研究グループは、牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)の簡易定量法「BLV-CoCoMo Dual qPCR法」(Dual-CoCoMo 法)とその乾燥試薬の開発に世界で初めて成功したことをスイスの学術誌「Viruses」に25日付で発表している。

BLVは全世界で拡大しているウイルスで、甚大な経済的被害をもたらしている。感染牛を淘汰するなどという戦略では感染率を下げることは困難であり、病態進行を測れる検査の役割が重要になっている。

BLV ウイルス遺伝子と宿主遺伝子を同時に検出し、細胞数あたりのウイルス遺伝子量を正確に測定可能なDual-CoCoMo 法を開発した。

このDual-CoCoMo法に使用する試薬と反応条件を最適化することで、定量値や測定精度が既存法と同等になることが分かっている。そして、さらなる作業の負担軽減と効率化を図り、Dual-CoCoMo 法の乾燥試薬を世界で初めて開発することに成功した。

乾燥試薬は既存法と同等の診断感度および特異度を示し、これまでと同じ測定精度でウイルス遺伝子量を簡単で迅速に数値化できることを明らかにしている。グループは「全世界に蔓延しているBLV清浄化対策に大きく貢献できる」としている。