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進行型多発性硬化症の炎症反応をブロックする仕組みを発見 グリア細胞を標的とした初の治療薬を発明 九大と国際医療福祉大

九州大学と国際医療福祉大学は、二次性進行型多発性硬化症(MS)の一部の病態が脳内グリア細胞の異常活性化とその拡散であることを突き止めた。新たな開発した薬剤がグリア細胞を標的とした初めての治療薬となる可能性があり、社会的意義の大きさを示している。

MSは若年女性に多い中枢神経系の疾患だ。患者の約2割は発症後約20年で進行性の二次性進行型MS(SPMS)に移行する。神経電動の障害などをきたす症状があり、日本には2万人超の患者がいるとされる。現状、SPMSの有効な治療法はない。

研究グループは中枢神経系に最も多く存在する「アストログリア細胞」が発現するギャップ結合たんぱくコネキシンの作用を薬学的にブロックすることで、グリア細胞から炎症反応を抑制するメカニズムを発見した。

さらに、研究で活用したコネキシン阻害薬「INI-0602」がMS治療薬として有望であることを明らかにしている。