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「分かってくれる」相手と関わりたい 偏見の解消が外国人差別を減少 阪大

友人が分かってくれない状況のイメージ

大阪大学の井奥智大特任助教らのグループは、「相手が分かってくれる」と思うことで、その人に対する偏見が減り、積極的に関わろうとする傾向が明らかになったとしている。日本文化を知ろうとする外国人がいることを伝えることが、外国人差別の減少につながるとしている。

相手が自分のことを分かってくれるという心理がなぜ良い影響をもたらすのか―。その要因として「相手グループが自分のグループを肯定的に捉えてくれると思うから」と「相手グループに親しみを感じるから」、「相手グループに対してあまり偏見をもたなくなるから」の3仮説が推測されていた。

井奥特任助教らは検証のため、日本人476人を対象とした実験を実施。「中国人は日本人のことを分かってくれる」と思った場合に、日本人が中国人に対して抱くイメージがどう変化するのかを調べた。

新聞などを参考に「中国人が日本のことを理解している/誤解している」という2パターンの内容の記事を作成。そのどちらかの記事を参加者に読んでもらった。その後、「中国人とより関わりたいと思うか」など中国人について抱くイメージについて質問した。

その結果、「中国人が日本のことを理解している」という記事を読んだ場合には、「誤解している」という内容を読んだ場合と比べ、中国人と積極的に関わろうとする傾向が確認された。その要因は偏見をもたなくなることにある可能性が高いと推測されている。

研究グループは外国人が日本のことを分かってくれている心理があれば、日本人の外国人に対する偏見は減少する。そして、外国人に関わりたいなど心理的によいインパクトを与えることができることになる。つまり、日本の社会を理解しようとする外国人がいることを伝えていくことで、彼らへの差別を減少できるとしている。