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菌糸ネットワーク、接続したほうが効率的な資源利用 菌の管理技術に寄与 東北大

(左)2つのシャーレが接しており、菌糸が相互に接続できる。(中央)2つのシャーレが離れており、菌糸が相互に接続できない。(右)菌糸を入れない対象区。

東北大学の深澤遊准教授の研究グループは、培養菌糸に複数の角材を与え、それらを菌糸で接続させた場合とそうでない場合に、つなげたほうが分解スピードは速いと発見した。森林の物質循環の理解や菌の管理技術への応用にもつながりそうだ。

研究グループは木材腐朽菌「チャカワタケ」の菌糸とブナの角材を置いて、角材同士を菌糸でつなぐネットワークを形成した。2つの平皿(シャーレ)を接して置くと菌糸は縁を乗り越えて、シャーレ間の菌糸がつながるが、離して置くと菌糸はつながらない。両方の状態の区域を作成している。この状況で8カ月間、室温約20度で培養してから木材を回収し、重量減少率を測定した。

その結果、菌糸がシャーレ間で接続できる実験区では、どの角材も安定して重量が減少した。一方で、菌糸が接続できない区域では、極端に重量減少率が小さい材があり、分解速度が遅くなっていた。

グループは「これらの知見は、森林の物質循環に果たす菌類の役割の理解や逆に菌糸ネットワークを切断することにより病原菌の活力を低下させるなどの管理技術への応用に貢献できる」としている。