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氷はなぜ滑るのか? 氷表面の分子運動の不均一性を機械学習で解明 慶応大

慶応義塾大学

慶応義塾大学の泰岡顕治教授らの研究チームは、氷の表面に存在する液体様の膜に着目した。分子動力学シミュレーションと機械学習によりその分子的特徴を明らかにしている。氷が示す特異的な性質の理解を深める上での重要な一歩となるという。

氷を滑りやすくしている擬似液体層について、これまで多くの研究がされてきた。だが、擬似液体層の分子的な特性については未解明な部分が多く残っている。

研究では、大規模な全原子分子動力学計算と分子運動を解析する機械学習を用いて、擬似液体層に含まれる分子の運動を解析。その結果、氷と水を入れたグラスで見られるように氷と水の部分が明確に分かれるのではなく、動きやすい運動と動きにくい運動が頻繁に切り替わる性質があることを明らかにした。

また、動きやすい運動をする分子が集まりやすい特徴があり、空間的に分子運動が不均一であることを発見している。

研究グループは「この成果は、氷が示す特異的な性質の理解を深める上での重要な一歩となる」とし「物理学、化学、材料科学などの分野において重要な貢献を果たすことが期待される」としている。