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コウモリの目標照準 複数の戦術を一つのパラメーターに集約 基礎生物学研究所×同志社大

蛾(が)を襲うニホンキクガシラコウモリ

基礎生物学研究所と同志社大学のチームは、コウモリが逃げ回る獲物を超音波で捕捉する際に複数の戦術を調和させ照準精度を劇的に高めていることを明らかにした。そして、作戦を運用する上での統合的な制御方針を提起している。25日付の学術誌「カレントバイオロジー」に掲載されている。

コウモリは優れた飛行能力と独特のエコロケーション能力で、複雑に逃げる獲物でも巧みに捕らえられる。これは、コウモリが獲物の位置を絶えず正確にトラッキングし続ける能力を有しているといえる。逃げる動物をどのように遅延なく正しい位置を特定しているのかを調べた。

研究は2010と2011年に収集された「ニホンキクガシラコウモリ」が蛾(が)を襲う際の行動記録を再解析することによって進められた。その結果、コウモリはスキャン方向の修正とその数の高速化、その範囲の拡大、目標方向の安定化の4つの作戦を実行していると分かった。

これらを同時にすれば大きな負荷がかかるが、それぞれの戦術を同じ運動パラメーターへの反応に集約することで、マルチタスクを一つにまとめて負荷を軽減していることが認められている。

研究グループは「戦術の機能的分業と単一パラメーターによる統合的制御によって、コウモリは感覚の遅延の問題にうまく対処し、優れたハンターとしての地位を確立しているのではないかと考えられる」と結論付けている。