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外来魚「コウライオヤニラミ」の危険性を指摘 環境DNAで確認 絶滅危惧種と生息域被る 京大など

コウライオヤニラミと分布状況

京都大学の辻冴月助教らといのちのたび博物館、タカラバイオのグループは、外来魚「コウライオヤニラミ」が固有種の捕食などで日本の生態系に大きな脅威となることを環境DNAを使った調査で明らかにしている。「早急な防除策が必要だ」と強く訴えている。

コウライオヤニラミは朝鮮半島にのみ分布するはずの肉食性の魚。多くの魚などを捕食することから、生態系への危険性が指摘されている。これまで、宮崎県の大淀川で確認されていたが、分布調査や生物への影響評価は行われてこなかった。

研究グループは大淀川の55地点で水1リットルを採取し、その中に含まれる環境DNAによって生息している生物の種類と割合を調べた。その結果、計29種が確認され、コウライオヤニラミは39地点で確認された。

また、カマツカやヨシノボリ、カワムツなど9種がコウライオヤニラミの環境DNA濃度に依存して存在が少なくなっていた。さらに、調査区域内に希少種である「オオヨドシマドジョウ」が生息しており、コウライオヤニラミの生息域と重なっていたことから「絶滅の危機が迫っている」と主張している。

辻助教らは「研究が少しでも多くの方にコウライオヤニラミの影響を知り、法的な規制や防除活動などの後押しになることを願う」とし「日本全国、いつどこの河川に人の手によって新たに放流され、その場の生物多様性が未来永劫失われてしまっても不思議ではない」としている。