北海道大学の和多和宏教授らの研究グループは20日、近縁種ではあるが異なる特徴の歌を歌鳥の「キンカチョウ」と「サクラスズメ」のハイブリッド個体が、多様な歌を学習できる能力を持つことなどを明らかにしている。同日付の科学誌「サイエンス・アドバンシス」に掲載されている。
歌鳥は周りの鳥の歌を手本に種特異的な歌を獲得する。だが、遺伝要因がどれほど学習能力を拘束しているかはこれまで分かっていなかった。
通常のヒナとハイブリッドの歌学習を比較した実験によると、キンカチョウとサクラスズメのそれぞれのヒナは両方の歌を聞いて育った場合に、自種の手本歌を学び、別種の歌声を再現できなかった。一方で、ハイブリッドのヒナは両種の歌を学習することができた。さらに、両親と別種の歌も学んだという。
また、歌神経核と呼ばれる発声学習に関わる脳領域の大きさは、ハイブリッドとそうでないものとの間に違いはなかった。
グループは「どのような親種の組み合わせのとき、どのような学習形式のときに、親の形質よりも子の形質が上回ることがあるのか、それがどのようなゲノム基盤のもとで起こるのかについては、さらなる研究が必要だ」としている。