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トラザメCT撮影の最適条件は? 海洋生物の画像検査に寄与 大阪公立大・海洋館

海遊館で飼育されているトラザメ

大阪公立大学の古家優准教授らと大阪の水族館「海遊館」の伊東隆臣獣医師らの研究グループは19日、トラザメのCT撮影の最適条件を調べた。心室腔と腎臓の画像コントラストの濃淡は造影剤の投与後30分がピークで、肝臓は200日目が最適だと分かっている。海洋生物の画像検査の加速に貢献することが期待されている。

研究ではマイクロCT撮影装置を用いて血管造影剤の造営効果を評価した。薬剤「イオパミドール」を与えて、260日間の心室腔と肝臓、腎臓のCT値を検証している。

その結果、心室腔と腎臓のCT値は投与後30分でピークに達し、22日後には低い値となることが認められた。また、肝臓のCT値は時間とともに増加し、200日目に最大となることが判明している。

さらに、イオパミドールの排泄プロセスを解明するため、胆のうと卵巣内卵胞、子宮角腔(かくくう)とイオパミドール投与後に産卵された卵のCT値を測定した。

すると、胆のうのCT値は6日目にピークに達した後に低値となった。卵巣内卵胞では、260日目でも高いCT値を示すことが明らかになっている。また、イオパミドール投与30 日以降に産卵された、卵の卵黄と卵白の平均および最大CT値は、前日までに産まれたもの値よりも高いことが確認されている。

グループは「トラザメの体内ではイオパミドールが非常に長期間蓄積され、胆汁、卵胞、子宮を経由して体外に排泄されることが示唆された」と説明。今後、板鰓(ばんさん)類における画像検査がさらに進み、疾患の解明に繋がることが期待されるとしている。