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90年前の予言の実証へ 阪大研究Gが電子と陽電子の対生成、レーザー伝播過程のシミュレーションで発見―宇宙の物質創成の基礎過程をレーザー実験で解明へ―

大阪大学レーザー科学研究所の杉本馨研究員(日本学術振興会特別研究員)、岩田夏弥准教授、千徳靖彦教授、カリフォルニア大学サンディエゴ校Alexey Arefiev 教授らの国際共同研究グループは、高強度レーザーがプラズマ中を伝播する過程で、レーザーエネルギーをガンマ線など光子に変換し、2光子衝突による電子・陽電子対生成を起こし、電子ビームが得られることを、世界で初めて明らかにした。

これまで光子衝突による電子・陽電子対生成は、およそ90年前に理論的に予言されていたが、実験室で光子衝突により発生した陽電子は確認されていなかった。電子・陽電子対生成の確率は非常に小さく、大量のガンマ線光子を衝突させ、観測に足る陽電子を発生させることが困難であったことが、その理由。

今回、研究グループは、高強度レーザーがプラズマ中を伝播する過程で、レーザー光のエネルギーをガンマ線に変換し、局所的に光子衝突を実現し、電子・陽電子対生成が効率的に起こる条件を理論的に導いた。

また、発生した陽電子が指向性の強いビームとして飛び出す特性を用いて、光子衝突による電子・陽電子対生成実証への道筋を提示した。光から物質が作り出される過程は、宇宙での物質創成の基礎過程であり、陽電子ビームの応用などへの発展も期待される。

この研究成果は、米国科学誌「Physical Review Letters」に、8月10日(現地時間)に公開された。