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フンで魚の病気を確認 個体を犠牲にしない養殖魚モニタリング 近大・産総研・理研

近畿大学

産業技術総合研究所と理化学研究所、近畿⼤学のグループは共同研究で、冷⽔病に感染した⿂のフンに特徴的物質・微⽣物を発⾒した。これらを病気の早期発⾒のためのバイオマーカーに利⽤できることを明らかにしている。17日付の米学術誌に掲載された。

冷水病菌によって生じる冷水病は、魚が感染すると河川や養殖場で大量死が起こる。養殖場では、モニタリングをして病気を発見することが求められるが、現在の技術では魚を廃棄することになる上、全ての魚を確認できないため病気の兆候を見逃しやすいという課題がある。

3機関は通常の水槽と感染症をまん延させたものを比較した。すると、微生物「シピオンケラ」の存在量や酢酸の濃度が累積死亡率と相関関係にあることが分かった。また、フンを解析した結果、シピオンケラ属が糖を利用して酢酸を生産することが分かったという。魚を犠牲にしなくてもフンを確認することで、水槽の健康状態を探れる可能性が示された。

グループは今後について「実験室規模での基盤的な研究として、今回特定した酢酸やグルコース量といったバイオマーカーの変動が発⽣するメカニズムの解明を進める」と説明。フンモニタリングの実用化により、水産養殖に貢献する健康管理技術に高めたいと力を込めている。