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アジアで初めてアレムツズマブの有効性を評価 先天性免疫異常(IEI)に効果的 東京医科歯科大など12機関

東京医科歯科大学

東京医科歯科大学の宮本智史助教の研究グループは、11機関との共同研究で先天的遺伝子異常により自己免疫疾患などが起こる「先天性免疫異常症(IEI)」に対して、欧米でIEI患者に用いられる薬品「アレムツズマブ」の有効性を調べた。アジア人のIEI患者集団で初めてアレムツズマブの効果を結果から評価している。

日本でアレムツズマブは2020年に成人患者の造血細胞移植の前処置薬として承認されていたが、小児患者に対する適用量や有用性は評価されてこなかった。グループはIEI患者19人にアレムツズマブの前処置に用いた造血細胞を注入する手術を解析して、有効性を示している。

中央値で18カ月程度の解析を行い、アンケートによって評価している。その結果、18例の患者は生存して、安定的に造血細胞が機能を果たした。また、重症な合併症も認められていない。一方で、ウイルス感染は11例と多く確認されたという。

グループは「アレムツズマブの有効性と安全性が示されたが、患者はしばしばウイルス感染を発症した」とし「ウイルスと T 細胞特異的キメリズムの移植後の持続的なモニタリングの重要性が明らかになった」と評している。