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アリ類、白亜紀からコミュニケーションシステムを確立 北大・福岡大・米自然史博物館

研究で用いられたゲロントフォルミカ・グラキリス

北海道大学と福岡大学、米自然史博物館は、約1億年前(白亜紀中期)のミャンマーから産出したアリの化石種「ゲロントフォルミカ・グラキリス」の微小な感覚器官を解析。最古の化石アリ類が発達したコミュニケーションシステムや社会性を獲得していたことを明らかにしている。

研究では白亜紀の琥珀(こはく)に保存された最も古いアリであるゲロントフォルミカ・グラキリスを使った。プレパラート化して確認すると、現在のアリが持つ5種類の感覚器のうち4つが存在していることが分かった。

これらは現存のアリの使い方から推察すると、フェロモンによる警報シグナルを巣の仲間と送受信していたと考えられる。この器官は仲間を識別する役割も果たしている。ゲロントフォルミニカが現在腫と共通のシステムを進化させ、アリ類が最初期からフェロモンコミュニケーションと社会システムを獲得していた可能性があるという。

研究グループは「琥珀内の微小な構造をあらゆる方向から観察可能とするものであり、琥珀に保存された極めて状態の良い化石の詳細な形態解析を通して、多様な絶滅生物の生態や進化の解明に貢献することが期待される」とコメントした。