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10年生存率7割弱の難病「神経線維腫症」 初の免疫療法を慶応大が開発

慶応義塾大学の戸田正博准教授らのグループは、聴力が障害される難病「神経線維腫瘍症2型(NF2)」の新たな治療法であるVEGFRワクチンを開発した。ワクチンは細胞傷害性T細胞を活性化させ、VEGERを発現している細胞を破壊する。

NF2は10~20歳で発症が多く、10年生存率が67%の希少疾患。髄膜腫や上衣腫等の腫瘍も併発する難治性の希少疾患で、手術では神経損傷の危険性が高いという。手術や放射線治療が行われていますが、多発する腫瘍の制御は困難で新たな治療法の開発が求められている。

研究グループはNF2の神経鞘腫(しょうしゅ)では、腫瘍細胞にVEGF受容体(VEGFR)が高発現していることから、それを標的とする腫瘍ペプチドワクチンの開発に着手して、臨床試験を行っている。

慶応大によると、一部の症例で腫瘍の縮小と聴力改善が認められたという。さらに、腫瘍細胞や腫瘍血管を破壊し得ることも確認している。グループは「有効性はいまだ確立されていないが、今後も試験を継続し、試験の完遂を目指して尽力する」と力を込めた。