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デジタルヘルス技術で睡眠週間を安定化 健康行動の充実に貢献 東大

東京大学の山本義春教授らによる研究グループは14日、ウェアラブル端末やスマートフォンアプリなどによって構成されるデジタルヘルス介入システムを用いることで、日常生活での睡眠習慣の変容可能性を示したと発表した。

研究ではウェアラブル端末による睡眠計測で得られたデータから睡眠フィードバックの通知を生成し、対象者に送信するシステムを開発。日常生活での睡眠習慣の制御を試みた。

グループは日本人就労者に約2週間にわたりリストバンド型のセンサーを装着してもらい、睡眠データを測定した。また、専用アプリを使って1日5回の頻度で心身症状の記録を求めた。

得られた睡眠データに機械学習を用いることで、眠りの長さやタイミング、効率が日によって変動する傾向がある集団を発見した。さらに、睡眠時間が不安定な人ほど抑うつ気分と不安を持ち、睡眠の質を低く評価している傾向があると分かっている。

これを踏まえて、デジタルヘルス睡眠介入研究を実施。研究参加者を対象に、再び2週間の睡眠と心身病状の評価を行った。毎日正午に睡眠時間が個人ごとに推定され、アプリに睡眠時間のフィードバックを50%の割合で送信している。

それによると、通知があった場合は、ないときと比較して睡眠時間が増加していることが判明。さらに、眠りの乱れが顕著であったグループは、安定性が改善したことも確認されている。

山本教授らは「知見は脆弱化した健康状態の検知に基づく日常生活下での実時間介入の重要性を示唆するものであり、健康行動介入におけるウェアラブル計測技術の利活用方略の一例となる」としている。