文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
魚のヒレの幅や長さはどのように決まるのか? 観賞魚創造に貢献 埼玉大など

埼玉大学の川村哲規准教授らと宇都宮大学、国立遺伝学研究所のグループは、魚のヒレの形成される位置が、体に位置情報をもたらす座標の役割をするHox遺伝子によって制御されていることを発見した。人工的に形を変えた養殖魚や観賞魚の作製に役立つ可能性がある。

幅が広いヒレのある魚がいれば、背ビレが臀(しり)ビレよりも前に位置する魚もいる。どのような仕組みによって魚のヒレの場所や大きさが変化するのかはこれまで不明であった。

研究グループは、Hox遺伝子に着目。この遺伝子は1~13まであり、1は頭部側で働き、番号が大きくなるにつれて尾側の体つくりを担う。ゼブラフィッシュでさまざまなHox遺伝子の機能を破壊して、どのような影響がでるかを解析した。

その結果、臀ビレのHox11を壊すと臀ビレは消失し、同12と13を破壊すると臀ビレの幅は2倍以上長くなった。また、背ビレの同10を潰すとヒレは消失し、同11~13を同時になくすと4倍以上大きくなることが観察された。

グループは「多様なヒレの位置やヒレの幅の違いは、Hox遺伝子からなるシステムを一部、変化させることで生じていることが分かった」としている。