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死んだふりより性刺激 アリモドキゾウムシ、メスが近いと早く覚醒 琉球大と岡山大

アリモドキゾウムシ

琉球大学の日室千尋博士と岡山大学の宮竹貴久教授の研究チームは12日、死んだふりを行う「アリモドキゾウムシ」のオスがメスの存在によって、ふりから目覚めるまでの時間が変化することを世界で初めて発見したと発表している。

アリモドキゾウムシは外部から刺激を受けると死んだふりを雌雄ともにする。これまで、他の昆虫を含めて死んだふりと性刺激のどちらが大切かという視点で行われた研究はなかった。

研究グループはアリモドキゾウムシにピンセットで刺激を与え、死んだふりをさせてさまざまな個体と同居させ、ふりから回復するまでの時間を調べた。

その結果、ふりをしているオスとメスを同居させたところ、早く覚醒することが明らかになっている。一方で、他のオスや性成熟していないメスと共に生活した場合は、早く動き始めることはなかった。

これらから、オスは成熟したメスの存在を感じ取ってふりをしていると分かっている。また、メスが存在しなくても性フェロモンがあるだけで、擬死の時間が短くなったことから、メスの性フェロモンは、オスの死んだふりを解除する重要な要素であることが判明している。

グループは「捕食回避か交尾相手の探索か、動物の生存戦略に新しい視点をもたらしたという点で本研究には学術的な意義がある」と紹介している。