横浜国立大学と鳥取大学、独統合生物多様性研究センター、モンゴル気象水文環境研究所のグループは12日、モンゴルの草原で集めたデータを用いて、気候変動による乾燥化で植物群集の安定性が損なわれる可能性を初めて実証したと発表した。同日付の国際科学誌で掲載されている。
研究では、モンゴル国の草原の観測網を活用して得られた2012~19年の植物群集データを解析。687の観測地で調べている。
その結果、乾燥度が高くなるにつれて、植物群集の安定性が失われていくことが分かった。また、生物多様性が大きいほど、植物群集では乾燥や温度ストレス耐性の異なる種が含まれた。そして、多様であるほど植物群集の安定性は、強くなることが分かっている。
研究グループは「日本人にとって乾燥地は馴染みがないかもしれないが、繊維生産に関連する家畜の放牧は乾燥地の生態系や生物多様性に影響を与える」とし「乾燥地の自然を利用しながら、生物多様性を維持し、どのように気候変動に向き合っていくかについて考えていく必要がある」とコメントしている。