広島大学の茂久田翔准教授らのグループは、代謝機能障害関連脂肪肝疾患(MASLD)患者の肝線維化と炎症の診断で、超音波を使った方法が有用である発見している。痛みのない測定実施の一助となることが期待されている。
MASLDは、肝臓の細胞に脂肪が異常に蓄積することで引き起こされ、進行すると肝線維化や肝硬変、肝細胞がん(HCC)に至る可能性がある。初期段階では症状がほとんど現れないが、進むとだるさや食欲低下、腹痛など症状が出て、最終的に死に至る病だ。
これまで、肝線維化の評価には針を刺して肝臓の組織を採取する手法が用いられてきた。だが、検査時には痛みや出血を伴うため、それらがない評価方法が求められていた。超音波を用いたせん断波(SW)と分散勾配(DS)による検査が注目されている。
研究グループはMASLD疑いの159人に超音波を用いて、肝臓の線維化と炎症を確認した。その結果、それぞれを正確に反映することが認められたという。
茂久田准教授らは「超音波を用いたSWとDSがMASLD患者の肝線維化と炎症の評価において有用であることが示され、従来の肝生検に代わる有用な方法となることが示された」と評している。