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30年間のモンゴル永久凍土の変遷を解析 環境の将来予測に貢献 北大

ウランバートルの景観

北海道大学の石川守教授らのグループは、モンゴルにある永久凍土の1986~2016年までの変遷をこれまでにない高解像度で復元することに成功したと発表した。温暖化のみでなく土壌生物によっても変動していくことが示されたという。

研究グループはモンゴルの69地点で観測した。地下10mまでの地温を高い解像度で求めている。

その結果、ウランバートル周辺の森林地帯や北部のフブスグールやハンガイ山脈、西部アルタイ山脈など国土全体の約30%が永久凍土であることが分かった。また、深度10 mでの永久凍土の温度は過去30年で最大1.2度上昇し、中央部と東部の山脈では顕著に上昇していた。

一方で、土地被覆ごとの地温や活動層の厚さを確認すると、あまり変化していない。森林地帯では、樹木による日光の遮蔽(しゃへい)や有機物に富む土壌が地下への熱伝達を妨げる効果により、永久凍土の温暖化が抑制されているという。

研究グループは「永久凍土は地表面の状態や土壌物性などにも応じて多様に変動することが示された」とし、「温暖化が急激に進行している北極圏陸域の永久凍土、特にシベリアに広範なタイガ林と永久凍土の相互連環を解明することにつながる」と評価している。