海洋研究開発機構(JAMSTEC)の利根川貴志主任研究員らのグループは6日、昨年10 月に鳥島(東京都)近海を震源として発生した津波が、沖合約 60 キロから沿岸まで到達する様子を捉えることに成功した。光ファイバーによる広範囲な津波対策で、防災に大きく貢献する可能性があるという。同日付の米学術誌で公表している。
光ファイバーをセンサーとする「分散型音響センシング(DAS)」は、それを数m~数十m間隔で分割してゆがみを計測する技術だ。計測可能な距離は100キロにも達する。これまでも地震観測に用いられてきたが、津波とDAS設置場所が重なることがなく、波が拡がる様子を観測できるかは分かっていなかった。
今回、JAMSTECは鳥島近海を震源とした地震による津波の発生をDAS観測で捉えることに成功した。DAS観測では津波の伝播(でんぱ)に伴う水圧変化とそれによる海底変形によってゆがみを確認したとしている。
JAMSTECは「将来的にはDAS のゆがみデータから津波波高の推定が可能になることが期待される」としている。