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武力紛争で文民統制逸脱、組織への信頼減少 「日本人は民主主義を堅持しているわけでない」 早大

早稲田大学

早稲田大学の篠本創次席研究員は、武力紛争下で軍事組織が文民統制から逸脱したと知った人が組織への信頼を失うことを確認したと発表した。日本人は民主主義の感覚を必ずしも持ち続けているわけではないと指摘している。

研究では軍事組織に対する文民統制という要素に焦点を絞り、この違反が組織に対する市民の信頼にもたらす影響を調査。2022年11月に3000人の日本人を対象とした実験を実施した。

参加者を5グループに分け、異なる仮想シナリオを見せた。その内容は、米軍の後方支援のために海外派遣されたが、部隊の指揮官が任務を適切でないと考え、軍の統制から逸脱したというもの。その後、参加者の態度を測定し、データを統計的に解析している。

その結果、文民統制違反が発生したという情報を目にした参加者は、自衛隊に対する信頼を有意に失った。篠本次席研究員は「ここで得られた調査結果は、確立した民主主義国である日本人でさえ、文民統制という政治的原則、ひいては民主主義を必ずしも堅持しているわけではない可能性を示唆している」とまとめた。