プログラムのイメージ
大阪公立大学の上村一貴准教授らの研究グループは3日、高齢者から敬遠されるICTを使った健康教育プログラムの効果を実証したと報告した。上村准教授は「ICTの活用により、場所や距離に左右されない、持続可能性に配慮した新しい健康教育プログラムを提案する」としている。
健康づくりへのICT活用は、アクセス促進や参加・継続率の向上など、さまざまな効果が期待されている。だが、健康教育プログラム実施者側からの一方通行の情報提供になりやすく、意思疎通も少ないことから、高齢者向け健康教育プログラムのデジタル化は進んでいない。
研究ではウェブ会議システムを用いたアクティブラーニング型健康教育が、アクセスのしやすさと対人交流による受け入れやすさ、意欲向上へ良い影響を与えると推測して調査を行っている。
研究ではパソコンを所有し、Eメールが利用可能な地域に在住している高齢者29人が参加し、介入群と対照群へランダムに振り分けた。介入群には、Zoomを利用して週1回90分、12週間のアクティブラーニング型健康教育介入を、対照群にはメールでの資料配信のみを行って効果を検証した。
その結果、介入群におけるプログラムへの参加・継続率は良好であり、対照群と比べて介入終了から 24 週後の身体活動維持にも中等度の効果が確認された。グループは「ポストコロナ社会においてデジタル化がさらに進む中で、特に重要な意義を持つと考えられる」としている。