文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
高偏光度のマイクロ偏光熱源を実現 新しい光デバイスや分析技術に貢献 慶応大・米ライス大

慶応義塾大

慶応義塾大学の牧英之教授らと米ライス大学の河野淳一郎教授らのグループは、1次元ナノ材料であるカーボンナノチューブ配向膜が高配向・高密度に整列したカーボンナノチューブ配向膜を用いて、高偏光度の偏光熱光源の開発に成功した。

本研究グループでは、カーボンナノチューブ配向膜を用いたマイクロサイズの偏光熱光源を開発してきた。だが、偏光度はそれほど高くないなど、さらなる性能向上が求められていた。

偏光(直線偏光)とは、電場・磁場が特定方向に振動した光であり、センシングや光デバイス、分析などの幅広い分野で用いられている。今回、シリコンチップ上のカーボンナノチューブ配向膜を用いた偏光光源において、カーボンナノチューブ配向膜が架橋した新たな構造の熱光源を開発した。

このデバイスを開発することで、高偏光度を高効率で得ることに成功している。偏光度が最大で約0.9となっており、従来構造での0.6と比較して大幅に向上した。エネルギー効率も、これまでと比べて 12 倍以上と大幅に向上している。

グループは「開発した高性能のカーボンナノチューブ配向膜を用いた偏光熱光源は、シリコンチップ上に集積可能で超微小なマイクロサイズの新しい偏光光源となる」と紹介。「新しいセンシングや光デバイス、分析技術を創出することが可能で、科学から産業まで、幅広く活用できる」としている。