静岡大学の徳元俊伸教授らの研究グループは31日、金魚もメダカと同様に「pax7遺伝子」が白色素細胞の形成に必要であることを解明したと報告した。透明な金魚の作成にも成功している。生体内の様子を解析する技術に貢献できる可能性がある。
グループはDNAの塩基を一つだけ変化させる科学変異源物質「エチルニトロソウレア」を金魚「和金」に作用させて2017年に透明な金魚を生み出した。透明金魚は稚魚の時には完全に澄み切っており体内の様子を確認できるが、成長に伴い体全体が半透明になってしまう欠点があった。
徳元教授らは白色素細胞の形成に必要な遺伝子であるpax7をゲノム編集技術で遺伝子破壊したら透明金魚をよりクリアにできると考えてさらに実験を重ねた。
和金のメスと透明金魚オスを交配させた受精卵でゲノム編集を実施。それによる変異導入が確認された個体を透明金魚とさらに交雑させた。これを繰り返すことで高度な透明金魚系統を作出したという。
研究グループは「pax7 ゲノム編集透明金魚系統では成魚でも体内臓器の観察が可能になった」とし「透明金魚は生体内でのバイオイメージングに貢献できる」と説明している。