東京工業大学
北陸先端科学技術大学院大学の松村和明教授らと東京工業大学の古田忠臣助教は共同で、医療などで応用される双性イオンポリマーによるたんぱく質凝集阻害メカニズムの解明に成功した。将来的に、アルツハイマーなど神経変性疾患の治療への応用も期待されている。
双性イオンポリマーの一種であるスルホベタインポリマー(PSPB)は、たんぱく質と相互作用して凝集性中間体の形成を阻止する。実験によりPSPBがインスリンやリゾチームなどの複数のたんぱく質を熱ストレスから効果的に保護することが示されている。
特に疎水性残基を導入したPSPB は、たんぱく質の凝集抑制効果が向上することが確認された。この効果は「分子シールディング効果」と呼ばれ、保護対象のたんぱく質と保護高分子が可逆的な相互作用を示すことにより、物理的に凝集を妨げている様子が確認されている。
今後について「アミロイドβタンパクの凝集抑制などの研究を進め、アルツハイマー病やパーキンソン病などのたんぱく質凝集が原因とされる神経変性疾患の治療や原因解明など実用化に向けた具体的な応用方法の開発に取り組んでいく予定だ」とコメントしている。