上智大学
上智大学と関西学院大学、早稲田大学、武蔵大学の研究グループは、バングラデシュのロヒンギャ難民の受入地域で家計調査を行い、ロヒンギャ難民に対する敵意は憂慮すべきレベルに達しているとしている。
ロヒンギャはミャンマーの西部ラカイン州に住む少数民族。ミャンマー政府からバングラデシュからの不法移民として迫害され、2017年にはミャンマー政府とロヒンギャ過激派で紛争が勃発。現在、バングラデシュのコックスハザール県に90万人の難民が不安定な生活を余儀なくされている。
研究グループはバングラデシュの受入地域で生活する住民がロヒンギャ難民にどのような感情を持っているかを調べるため、難民キャンプ周辺住民を対象に、お金を使った経済実験も組み入れた独自の家計調査を行った。
研究ではバングラデシュ国民の敵意を定量化するため、個人でコストを負担した分だけロヒンギャ支援のための寄付金を減額できる「JODゲーム」を実施。自身が報酬額の減少を受け入れれば、 5 倍の金額をロヒンギャ支援金から差し引く選択肢を提示した。コストを払って寄付金を少なくすることは敵意と解釈できると考えた。
その結果、1679世帯の57%が寄付金を減らすために報酬の減額を受け入れた。難民キャンプに近い住民は、離れた地域の人たちよりも、寄付金を大幅に減少させる傾向にあることが分かっている。
グループの樋口裕城・上智大准教授は「私たちは、世界が難民の問題に真剣に向き合い、行動を起こす必要があることを研究を通して強調していきたい」と述べている。