新潟大学の新美亮輔准教授は、集団の中でマイノリティが一人でも含まれる確率をどう判断するのかを実験した。人口割合などを尺度に考えてしまうことで、過少な割合を算出しやすいとしている。
なぜマイノリティが身の回りにいないと多くの人が思いがちなのか-。
新美准教授は成人の実験参加者429人を対象に、マイノリティが周囲にいる確率を答えてもらった。色覚以上の人は医学的には3%とされ、数学的に求められる確率は「60%」であるが、最も多い回答は「1%」であり、大幅な過小視が起きていると判明した。
このような結果は偏見の表れなのかを調査するため、絶対音感などネガティブな印象をもたれない少数者に関して同様の調査を行ったところ結果は同じになった。大幅に小さくなる理由を分析すると、人口割合や期待値を基準にして考えるとこうした結果に至りやすいと分かっている。
新美准教授は、集団にマイノリティがいる確率を多くの人は考えたことがないため、妥当な計算方法を思い起こすことができず、人口割合や期待値の計算をしてしまうとしている。「過小視の要因をさらに解明することが必要」とし「この成果は多様性の理解を難しくしている認知的要因を明らかにし、解消するヒントになる」とコメントしている。