岡山大学の松本卓也教授らの研究グループは、真皮や肝臓などの生体軟組織と接着、脱着できる無機セラミックス系固体接着材を開発した。新しい接着材として、手術における臓器の圧排や医療用デバイスの固定への応用など外科処置の簡便化に貢献することが期待されている。

生体組織の接合や医療用デバイスの生体内への固定には、現在高分子製の縫合糸や化学硬化型の高分子接着材が使用されている。一方、医療現場においてはこれら用途にあたり簡単で迅速に使用できる生体組織用接着材の開発が望まれている。

研究グループは骨の主成分である「リン酸カルシウム」の粉末を材料に生体組織の接着と脱着ができる接着剤の開発に成功した。生体組織の水分を吸収し、生体組織や内臓と強く結合できるという。さらに、水分を接着界面に供給することで体に傷をつけずに外すことも可能だ。

松本教授らは「医療デバイスの体内固定など、外科処置の簡便化や多くの応用につながる成果だ」としている。