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サケの卵を何度も生産できるニジマスを作成 サケ類の遺伝子資源を長期保存 東京海洋大

キングサーモンやベニザケのように1回卵を生むと死んでしまうサケ類は1度卵を生むと死んでしまう。東京海洋大学の吉崎悟朗教授らの研究グループは25日、卵や精子を何度も生産できるニジマスを生み出したと発表している。

太平洋にいるサケ類の多くは海での回遊生活の後、生まれた川に戻り産卵を終えて死ぬ。一方、太平洋に分布する原始的なサケと考えられている「ニジマス」や「カットスロート」は産卵後も生き残り、その後も毎年産卵を繰り返す特徴がある。

研究グループは1回産卵型の代表として「マスノスケ(キングサーモン)」と「ヒメマス」を、多回産卵型の代表としてニジマスを用い、これらの種の卵巣や精巣内に存在する生殖幹細胞の挙動を解析した。

その結果、多回産卵型のニジマスでは産卵期後も生殖幹細胞が卵巣、精巣内に残存するのに対し、1回産卵型種の生殖幹細胞は成熟卵巣や精巣からは完全に消失することを明らかにしている。また、これらの卵や精子を受精させることで、健常なキングサーモンやベニザケの次世代を生産することができた。

吉崎教授らは「本技術の活用により地球温暖化に伴い資源量が減少している多くの1回産卵型のサケ類の遺伝子資源の長期保存も可能になる」としている。