岡山大学の寺澤孝文教授の研究室は23日、知識習得の効率化と意欲向上を実現する新しいタイプのeラーニング「マイクロステップ・スタディ(MSS)」を開発した。利用した生徒のMSS学習量と英検スコアを解析すると、1日5分程度の量の増加に伴い点数が増えていたと発表している。eラーニングの科学的根拠が示されたのは初めて。
研究チームは1日当たりの学習回数などで学習効果を可視化しやすく、1夜漬けでなく実力を高められるMSSを開発した。これは学習者が到達度を4段階で評価し、覚えようとせずに見流すように学習するもの。
研究ではMSSによる英単語学習が、英語力を測定する英検スコアに対してどのような影響を及ぼすのかと有効性のデータ解析によって評価。柏木学園高校(神奈川県大和市)に通う生徒の勉強時間と同校で2021年の5、10月、22年の1、5、10月のスコアを調べた。
それによると、量が1日分多くなったとき、平均1.04点高くなることが示された。1日の学習は約5分程度で終えられるものであるため、それだけの時間で英単語を見聞きするだけで英語力が向上したという。
寺澤教授らは、現在普及している学習法や記憶の常識が覆さていくことになる」と説明。さらに「今後新たな事実が出てくるのは間違いない」と期待を寄せている。